展覧会情報
第213回 伊藤桂司・谷口広樹・ヒロ杉山 展
2004年02月04日(水)~02月28日(土)
このシリーズの最初に3人が選ばれたことは興味深い。公私共々不思議なつながりを感じるメンツだ。今回のコンセプトは当然といえば当然な気もするが、それは「手描き」ということだった。それぞれの手法としてデジタルな感性もたぶんに持ち合わせている我々だが、敢えてここで「手の力」ということを問おうとした。失われつつある手技に感傷的になっているわけではない。制作の姿勢として我々は手の表現にイデアを見、フィジカルなメンタリティーを感じるからだ。それは神技というよりは人間の癖っぽい手垢のような、描くというよりはプリミティヴなマーキングのような行為なのかもしれない。何故ここにいるのか?といった根源的な謎解きをするかのように表現に塗れているといった感じだろうか。絵具で描かれた絵も人工物である。デジタルプリントはその度合いがさらに加速している。しかしそれを造り出している人間は自然物であるという当たり前のことを3人は自然に肉体と精神に染み付かせ、常に忘れることなく、たどたどしくも手でスープの素のように理念のかけらを溶かしながら日々制作の味付けに向っている。 谷口広樹