展覧会情報

ギンザ・グラフィック・ギャラリー第381回企画展 SURVIVE - EIKO ISHIOKA /石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか

2020年12月04日(金)~03月19日(金)

design: Hiroaki Nagai
design: Hiroaki Nagai
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石岡瑛子(1938-2012)は、1960-70年代の東京で、資生堂、パルコ、角川書店などのアートディレクター(AD)として、広告界にセンセーションを巻き起こし、当時世の中にある「女性」のイメージをことごとく覆し、1980年代の「女の時代」到来の布石を打ちました。
「モーレツからビューティフルへ」や「ディスカバー・ジャパン」などのキャンペーンで始まった1970年代の広告は、オイルショック(1973年)を契機に、高度成長経済の波に乗った大量生産、大量消費の時代が終わり、企業イメージによる差別化の時代へと突入。石岡瑛子や浅葉克己といった個性的なアートディレクターの出現によって、広告は商品の顔ではなく、企業の顔を明快にアピールするもの、つまり、「ものを宣伝するのではなく、現象(生き方=思想)を広告宣伝する」ようになりました。
特に、 70年代、最も熱いメッセージを送り続けた一連のパルコのポスターは、カメラマン、コピーライター、モデル等との親密でありながら、緊張感みなぎるコラボレーションにより、世界も驚くほどの表現水準に高まり、広告の領域を超えて強烈なアートとして時代を彩りました。
本展は石岡瑛子のデビューから1980年代のニューヨークへ渡るまでの日本の仕事に焦点を当てます。前期は資生堂やパルコなどの広告キャンペーンの名作を中心に、後期は映画や演劇のポスターを始め、今まであまり見る機会がなかったグラフィック・アート作品なども厳選してご紹介します。
生前、石岡がマントラのように唱えていたことば、「ORIGINARITY」、「REVOLUTIONARY」、「TIMELESS」。半世紀近い時を超えてなお、これら石岡瑛子の革命的な創造精神の破片は、私たちの心を激しく揺さぶりながら、確信を持って「目覚めなさい」とささやいています。

お知らせ

会期

会期を前期、後期に分け作品の入れ替えを行います。
前期 {広告・キャンペーン}:2020年12月4日(金)-2021年1月23日(土)
後期 {グラフィック・アート}:2021年2月3日(水)-2021年3月19日(金)
[冬期休館:2020年12月28日(月)-2021年1月5日(火)]

会場

ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)
〒104-0061東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル1F/B1
tel 03-3571-5206  入場無料  11:00am-7:00pm 日曜・祝日休館
 

監修

石岡怜子 河尻亨一

デザイン

永井裕明(N.G.inc.)

展示構成

中沢仁美(シービーケー)

展示映像

加藤貴大(motion graphic director)+熊本直樹(design director)+ EDP graphic works(motion graphic design)
 

オンライントークセッション

会期中オンラインで配信しているギャラリートーク第4弾。

今回はスタイリスト伊賀大介氏、アートディレクター、グラフィックデザイナーの小杉幸一氏をゲストに迎えます。
石岡瑛子没後10年になろうとするいま、新しい時代を切り拓く二人のクリエイターに、「なぜ、いま石岡瑛子なのか?」「時代をクリエイトするとはどういうことなのか?」など、様々なアングルからお話いただきます。

本展監修者であり、評伝『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』の著者でもある河尻亨一が司会を務めます。

瑛子さんを語る! vol.4「今日のデザインー時代をクリエイトするのは誰か」
■日時:2021年2月26日(金) pm5:30~7:00
■出演者:伊賀大介×小杉幸一×河尻亨一
■予約不要・無料

時間になりましたら、こちらよりYouTubeにアクセスしてください。 https://youtu.be/va2W4j7I44s

※配信中、映像や音声が途切れたりする可能性がございます。
 あらかじめご了承くださいますようお願いいたします.
※会期中限定で録画配信を予定しています。詳細は近日こちらのHPよりお知らせいたします 。


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↓過去のトークセッション

瑛子さんを語る! vol.1「あれから9年、エイコを待ちながらーオンライン・ギャラリー解説」
■出演者:河尻亨一(編集者)×北沢永志(gggキュレーター)
→録画配信はこちらからお楽しみください。

瑛子さんを語る! vol.2「私は見た! 石岡瑛子の頭と手」
■出演者:榎本了壱(クリエイティブディレクター) × 河尻亨一(編集者)
→録画配信はこちらからお楽しみください。

瑛子さんを語る! vol.3「エイコのデザインDNAはつながっていく」
■出演者:篠原ともえ(STUDEO)×永井裕明(N.G.inc.)×河尻亨一(編集者)
→録画配信はこちらからお楽しみください。

石岡瑛子(いしおか えいこ)

デザイナー/アートディレクター。東京藝術大学卒。1961年、資生堂宣伝部入社。前田美波里を起用したポスターなどで頭角を現し独立。70年代にはパルコ、角川文庫など時代を揺るがす数々のキャンペーン、ファッションショーの演出、書籍デザイン他を手がける。80年代初頭に活動の拠点をニューヨークに移して以降は、美術及び衣装デザインなど、さらにボーダーレスに仕事の領域を広げ、舞台「M.バタフライ」でニューヨーク批評家協会賞、アルバム「TUTU」でグラミー賞、映画「ドラキュラ」でアカデミー賞を受賞するなど世界的評価を得る。作品集に『EIKO BY EIKO』『EIKO ON STAGE』、著作に『私デザイン』他がある。

後期開催にあたり

もう一人の石岡瑛子。
知られざるグラフィックアートの力


いまなお燦然とした輝きを放つデザイナー、石岡瑛子。後期展示では、これまであまりフォーカスされることがなかったグラフィックアートを中心にご紹介したいと思います。

東京を拠点に活動していた1960年代から、資生堂やパルコなど大企業の広告制作を手がけるかたわら、演劇・音楽のイベントから画廊主催の作家展まで、瑛子は様々なアートプロジェクトに参加し、多くのグラフィック作品に取り組みました。

「幾何学図形」や「人体」をモチーフにしたポスター群から、みずからイラストレーションも手がけた雑誌ビジュアルなど、これらグラフィックアートの代表作には、クリエイター個人の思考や創造哲学、作品の定着にいたるまでのプロセスが刻印されており、まるで瑛子の肉声まで聴こえてきそうな生命感や律動が宿っています。

こうしたプライベートワークで培った"感性・技術・胆力"が、広告キャンペーンの仕事はもちろん、渡米後の美術・衣装デザインにまで拡張されているという意味において、一連のグラフィックアートに、石岡瑛子の表現者としての原点と多様な可能性を見出すこともできるでしょう。

本展でもうひとつ注目いただきたいのは、石岡瑛子のトータルデザイナーとしての実力です。ファッションショーや写真・絵画展、書籍などのプロジェクトで瑛子は、宣伝ポスターや表紙カバーの制作にとどまらず、ときには企画から演出・編集、プロデュースにまでタッチしています。瑛子にとってデザインとは「衣だけでなく肉体から創る」行為でした。

今回の展示作からは、あらゆる境界とステレオタイプを超え、全身全霊でクリエイションに向き合った表現者のデザイン観をうかがい知ることができると同時に、瑛子が現代社会の抱える様々な課題にジャーナリスティックな関心を持ち続けたことにも気づかされます。

本展を通じてグラフィックアートの力を体感しながら、広告や映画などのビッグプロジェクトからは見えにくい、"一作家"としての石岡瑛子に出会っていただければ幸いです。

河尻亨一

お問合せ

ギンザ・グラフィック・ギャラリー柳本 Tel:03.3571.5206