「21世紀の第一弾は君に頼むよ」と田中一光先生よりこの展覧会のお話をいただいた時、心に期するところがあった。コンピューター全盛のグラフィック界にもの申したいと考えたわけではない。ただ、私は作品制作の原点を大切に、木版画、そしてあらゆる画材を使ったドローイングという、最も古典的でオーソドックスな手法を使ってきた。今回は、そのこだわりを際立たせたカレンダー、ポスターなどの印刷物に加え、木版画をデジタル化して拡大出力してみた幡を一堂に集めてみた。結果は、原画展とはまた別の「私」が表現されることになった。日本古来の絵画の技法に、西洋画の技法、さらに先端の電子技術も用いた私の新しい試みに、多くの方々から熱いご声援をいただいた。今は亡き田中一光先生の創作に対する志を少しでも継げたであろうか。 木田安彦