展覧会情報

第101回前期 平野甲賀展 「文字の力」

1994年10月03日(月)~10月29日(土)

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いまは書籍カバーのみならず、本文でさえオフセット印刷が主流である。今回のリトグラフによる装丁の「再生」は源流にもどってみたいという気持ちの現れである。会場では奥行きのある展示をめざしてリトグラフ、商品としての本、モニター画面を同時に見られるようにした。装丁は最低限の制約がある、書名、著者名、出版社名。この制約にデザインを託す。本文ゲラを熟読することはあまりないが担当編集者の意見は尊重している。つまり、この書物のよって立つ状況をじゅうぶんに理解するためである。その理解を制約のうちに表現しようと試みる。文字のもつ力をかりて。今回は「架空装丁」と称して、私にとっての古典の中から数点制作した。思い入れが強すぎるように見えるのは、制約のありかたのちがいだろう。制約が多ければ多いほど面白く、闘志も湧いてくる。 平野甲賀