展覧会情報
京都dddギャラリー第249回企画展 C-GRAPHIC/TAIPEI 2020年代台北のグラフィックデザイン
2025年11月06日(木)~01月12日(月)
近年、国際的なデザインコンペティションでは中華圏のグラフィックデザイナーが多く名を連ね、SNSを通じてそれらのビジュアルが日常的に目に入るようになりました。しかし、その背後にある文化的・社会的な背景については、まだ十分に理解されているとは言えません。『C-GRAPHIC INDEX』は、広大な漢字文化圏のグラフィックデザインの地図に補助線を引き、その現在地を可視化しようとした試みです。
「C-GRAPHIC」の “C” は、言語としての Chinese=漢字を指しています。本展ではその中でも繁体字(Traditional Chinese)を使用する台北を中心に、1980~90年代に生まれたミレニアル~Z世代のデザイナーたちによる、文化・芸術分野に関わるグラフィックデザインを中心にご紹介します。
彼・彼女たちはどこで何を学び、どのような影響を受けてデザインを行っているのか。そしてどのように生活し、どのような思想をもって制作に臨んでいるのか。誌面では伝えきれない作品の実物展示を通じて、その多層的な創作背景に触れていただけます。これらの作品を通して、台北のデザイナーたちがどのように都市と関わり、2020年代のカルチャーを形成しているのかを、言葉とビジュアルの両面から体験いただけると幸いです。
関連イベント
■トークイベント
2025年11月8日(土)15:00~16:30
ゲスト:ddd.pizza、ONE.1O Society、O.OO™、Oval graphic、Sydney Sie
進行:後藤哲也、毛灼然(Javin MO) / 要予約・無料
※予約方法は後日、当サイトでご案内します。
2025年11月8日(土)17: 00~18:00(入場自由)
参加スタジオ/デザイナー プロフィール
adj. everything(形容事物所)/蔡東宏(ツァイ・トンホン)、許琇鈞(シュウ・シュウチュン)
蔡東宏と許琇鈞によるデザインスタジオ。「あらゆる事物にふさわしい形容詞を見出す」ことを理念とする。人の精神や物の質感、場をつなぎ想像の共同体を構築し、読書・都市・生活・教育などをテーマに新旧の狭間を解釈。明快な戦略とナラティブで感覚と想像力を広げ、世代を超えてデザインを届けることを目指す。D&AD、New York TDC、Tokyo TDC、Golden Pin Best Design などを受賞。
ddd.pizza/張溥輝(チャン・プーフイ)
張溥輝が主宰するスタジオ。東京TDCに複数回入選。デザイン誌『+81 Magazine』の「次の時代に影響を与える44人の新鋭デザイナー」に選出。クライアントは Netflix、HBO、Disney+、Nike など。ブランドコンテンツ、グラフィック広告、モーショングラフィックスを中心に、紙媒体やポップカルチャー領域のデザインも手がける。現在、日本のクリエイティブカンパニー Eat, Play, Sleep Inc. とスタートアップ Teracy のデザインパートナー。
Echo Yang/楊維綸(エコー・ヤン)
台北出身のフリーランス・グラフィックデザイナー。2013年オランダ Design Academy Eindhoven 情報デザイン修士課程修了。イメージ、アイデンティティ、タイポグラフィ、メインビジュアルなど幅広いグラフィックデザインを手がける。作品は Tokyo TDC Excellence Awards に入選、金曲奨ベストアルバムデザイン賞にもノミネートされた。
Elf-19/洪彰聯( ホン・チャンリェン)
洪彰聯(ホン・チャンリェン)によるデザインスタジオ。洪は看板工場で育った環境から得た経験を背景に、複雑で大胆な印刷技術や非典型的な誌面構成によってタイポグラフィの美的枠組みを更新してきた。ダンスクラブとの協働による実験的なポスターや、グリッドシステムを用いない非典型的なエディトリアルデザインで、台湾デザイン界で確かな影響力を持っている。2023年よりAGI(Alliance Graphique Internationale)メンバー。
HOUTH/何婉君(ホ・ワンチュン)、黃紀滕(ホアン・ジータン)
HOUTH は2014年台北設立のクリエイティブチームで、ブランド戦略からアートディレクション、グラフィックデザインまでを手がける。共同創設者/デザインディレクターの何婉君はAGIメンバーで、作品はTokyo TDCやTOP in Asiaなどに入選。鮮やかな色彩と実験的なビジュアル言語、革新的なタイポグラフィを特徴とし、アートと商業の間に独自のバランスを築いている。
O.OO™/盧奕樺(ルー・イファ)、劉昱賢(リウ・ユーシェン)
O.OO™ は、ルー・イファとリウ・ユーシェンの2人のグラフィックデザイナーによって結成されたビジュアルデザイン・スタジオ。柔軟なデザイン手法と RISOGRAPH 印刷の研究を組み合わせ、新しいタイプのビジュアル作品を数多く生み出してきた。強い実験性を帯びた作品は、O.OO の大きな特徴となっている。
ONE.1O Society/牛子齊(デジレー・ニュー)
ONE.1O Society 主宰/アートディレクター/デザイナー。ミネアポリス美術デザイン大学大学院修了。Tokyo TDC、New York TDC、Golden Bee、Golden Pinなど入選多数。国際交流基金「Door to Asia」で気仙沼市の地域ブランディングに携わる。Topawards Asiaや青春設計節の審査員を務め、出版活動にも関わり、翻訳書に『INSIDE PARAGRAPHS 欧文タイポグラフィ解体新書』がある。
Oval graphic/葉忠宜(イエ・ツォンイー)
葉忠宜によるデザインスタジオ。京都芸術大学大学院修了後、2015年に「oval-graphic」を設立し、中国語タイポグラフィ専門誌『Typography』を創刊。教育的叢書「Zeitgeist」を企画・刊行し、書籍・ブランド・イベントのデザインを手がける。D&AD Wood Pencil、Good Design Award Best100、Golden Pin Best Design など受賞多数。近年は台北に書店「Weight Books」を設立。
Sydney Sie/謝昕妮(シドニー・シェ)
ビジュアルアーティスト。国立台湾科技大学で学士(グラフィックデザイン専攻)、修士(インフォメーションデザイン専攻)を取得。デザイン、写真、映像を通じて作品を制作し、錯視やシュルレアリスティックな構図、記号言語を扱う。作品はイギリス、イタリア、オーストラリア、ポルトガル、ルーマニア、ブルガリアなど多国の国際映画祭で受賞・ノミネート。ジェンダーや心理をテーマに継続的に探究している。
Yang Qiao Ran/楊喬然(ヤン・チャオラン)
グラフィックデザイナー/アーティスト。Aaron Nieh Workshopなどを経て、2018年よりフリーランスとして活動。現在は自主プロジェクト「100 Shapes Project」に注力している。本プロジェクトでは、形や色を用いて抽象的な色面の組み合わせを生み出し、そこから生じる空間の比率や境界によって意識の外にあるイメージを構築し、自我と表層との関係を描き出す。人物や具象的な形態は登場せず、それぞれの作品は雑然とした場面であり、曖昧な詩であり、軽やかな旋律であり、未完の夢ともなりうる。
キュレーター プロフィール
後藤哲也 Tetsuya Goto
デザイナー/キュレーター/エディター。近畿大学文芸学部文化デザイン学科教授。大阪を拠点に、東アジアの現代グラフィックデザインを研究・記録しつつ、展覧会や出版を通じて国際的なネットワークを築いている。著書に『K-GRAPHIC INDEX』『C-GRAPHIC INDEX』『K-GRAPHIC IN-DEPTH』などがあり、韓国や中華圏のデザインシーンを多角的に紹介してきた。展覧会企画には「もじ イメージ Graphic 展」(21_21 DESIGN SIGHT)、「ddd DATABASE 1991–2022」(京都dddギャラリー)などがある。また、大阪の古アパートを改装したギャラリー「ASAHISONOMA」を運営し、国内外のデザイナーとの協働を通じて国際的なグラフィックデザインのネットワーク構築を模索している。Website: outofoffice.jp / instagram: @tetsuya_goto
毛灼然 Javin Mo
AGI(国際グラフィック連盟)会員である毛灼然は、デザインスタジオ Milkxhake の創設者であり、香港を拠点にアジア各地で数多くのデザイン展やイベントを手がけるグラフィックデザイナー兼キュレーター。香港および台湾において、M+や西九龍文化区をはじめとする芸術・文化・公共機関など、国内外の主要クライアントと積極的に協働してきた。彼の作品は数々の国際的なデザイン賞に選出されており、台湾ゴールデン・ピン・デザインアワードにおいては2017年から2023年にかけて「Design Mark」を受賞、さらに2015年と2024年には「The Best Design」を獲得している。また、ニューヨーク Young Guns(2018年、2025年)、台湾ゴールデン・ピン・アワード(2023–2024年)、英国 D&AD Awards(2019年)などで国際的な審査員も務めた。現在は台北在住。
主催
公益財団法人DNP文化振興財団
企画|グラフィックデザイン|
後藤哲也+毛灼然 (Javin Mo)
展示デザイン
NO ARCHITECTS
会場|ご利用案内|アクセス
会場:京都dddギャラリー
〒600-8411 京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620 COCON烏丸3F
TEL:075-585-5370 FAX:075-585-5369
会期:2025年11月6日(木)~2026年1月12日(月・祝)
開館時間:火曜~金曜は11:00~19:00 土日祝は11:00~18:00
休館日:月曜日(11/24、1/5は開館)、
年末年始2025年12月29日(月)~2026年1月4日(日)、
および11/25(火)
アクセス:市バス「四条烏丸」徒歩すぐ
地下鉄烏丸線「四条駅」2番出口
阪急京都線「烏丸駅」23番・25番出口すぐ
駐車場無、入場料無料