アーカイブ事業について

貴重な文化遺産として次世代へ継承することを目的に、グラフィックデザインとグラフィックアートの優れた作品と関連資料の収集・保存を行なっています。

コレクション・データベース

コレクションの中核は、アメリカ現代版画の「タイラーグラフィックス・アーカイブコレクション」と、日本の現代グラフィックデザインの包括的なコレクション、「DNPグラフィックデザイン・アーカイブ」です。これらのコレクションや関連資料は、教育・研究目的に限り閲覧や貸し出しなどにも対応しています。詳細はDNP文化振興財団までお問い合わせください。

タイラーグラフィックス・アーカイブコレクション

20世紀後半のアメリカ現代版画の隆盛を牽引した版画工房、タイラーグラフィックスがアーティストたちとのコラボレーションによって制作した作品のコレクションです。タイラーグラフィックスは、マスター・プリンター、ケネス・タイラーが1974年にニューヨークに設立したアメリカを代表する版画工房。既成概念にとらわれない革新的なアイデアと技術を駆使して版画芸術の可能性を拡張したことで知られています。コレクションを構成するのは、同工房が1974年から2000年までの活動期間に、40名のアーティストたちとのコラボレーションを通して生み出した約1,000点の版画作品とその関連資料。その中には、フランク・ステラ、ロイ・リキテンスタイン、ロバート・マザウェル、ヘレン・フランケンサーラーなど、アメリカ現代美術の巨匠たちの作品が数多く含まれ、版画の歴史だけでなくアメリカ現代美術史を概観する上でも貴重な資料といえます。

DNPグラフィックデザイン・アーカイブ

「DNPグラフィックデザイン・アーカイブ」は、国際的に高い評価を得ている日本の現代グラフィックデザインを、貴重な文化遺産として次世代へ継承することを目的に2000年にスタートし、ポスターを中心としたグラフィックデザイン作品の収集・保存・公開を行なっています。2024年現在、230名以上の作家によるおよそ2万点の作品を収蔵しています。

また、日本のグラフィックデザインに大きな足跡を残した田中一光・福田繁雄・永井一正の3名については、ポスターなどの作品にくわえて版下・原画類や蔵書など関連資料も所蔵しています。グラフィックデザイナーとして戦後日本社会の変化に直接かかわってきた彼らならではの貴重な資料群は、グラフィックデザインにとどまらず様々な分野の研究にも有用でしょう。

田中一光アーカイブ

DNP文化振興財団は、日本を代表するグラフィックデザイナー、田中一光(1930-2002)の業績を貴重な文化遺産として後世に継承することを目的に、京都市内において田中一光アーカイブを運営しています。アーカイブを構成するのは、田中の多岐にわたる活動から生み出された、作品、版下、校正紙、原稿類、写真、文書、書簡、スクラップブック、蔵書、作家が蒐集した美術工芸品、他作家のポスターなどの作品・資料群です。学術利用をはじめ、グラフィック文化の振興に活用するために、田中の遺族より2008年、DNP文化振興財団に寄贈されました。資料数は目録化できている分だけで約55,000件に上り、現在も調査および登録作業が進行中です。資料の閲覧や調査は、原則的に研究者等による学術目的に限り、完全予約制にて受け付けます。

田中一光アーカイブ利用について