展覧会情報
京都dddギャラリー第238回企画展 ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み
2023年08月09日(水)~10月15日(日)
スタインバーグの名前は日本でもおなじみですが、今もっとも再発見、再評価を必要としている芸術家です。
スタインバーグは、ドローイングを「紙上で推論する方法」と捉え、神話化されたアメリカの理想像と現実とのギャップや、不気味で滑稽な不条理、たとえば、古いものと新しいもの、優雅と狂暴といったものの混在とその見えない裂け目(クレバス)を、ユーモアと風刺を備えた、軽妙でしかも鋭利な線(line)で描きました。
彼は、「見えない線」、「見えないもの」、「見えない言葉」、「見えない構造」を視覚化し、意味の変換、概念の変換に生涯挑戦し続けました。
自分自身の肩書の曖昧さを積極的に受け入れていたようで、世間からも「描く文筆家」、「言葉と音の建築家」、「境界線上の芸術家」、「新しい思想の起案者」など様々に評され、常に未知の視覚的領域を超えて、子供の絵や大人の落書きから、クラシック、バロック、マニエリスム、表現主義、キュビスム、構成主義まで、あらゆるスタイル、あらゆる表現方法を試みました。
「私は読者に共犯を呼びかけている」と、スタインバーグは見る側を、現実の理不尽さに目を向けるために当事者になることを煽ります。スタインバーグが生み出した造形は、このような思索と思想を武器に、イタリアの風刺新聞『ベルトルド』やアメリカを代表する雑誌『The New Yorker』誌をはじめ、数々の新聞や雑誌の紙面を、美術館の壁にあるピカソの絵と同じくらい明確に、芸術の場に変えたのです。
ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)で開催された、日本初の大々的な個展を巡回する本展では、ソール・スタインバーグ財団よりご寄贈いただいたポスター、リトグラフ、エッチングなどの貴重な作品をはじめ、ドローイングを中心とした代表作の複製作品などを含む、合計約170点の作品を一堂にご覧いただきます。
本展の監修をいただいた矢萩喜從郎氏曰く、「スタインバーグのドローイングを見せられたほとんどの人が、有り得る筈がない情景、と最初笑って反応したとしても、すぐに戸惑い、思考が停止し、宙吊りにされてしまう」。ぜひこの感覚を、会場の作品に直接対面して、ご体験ください。
※本展は2021年12月10日(金)~03月12日(土)に開催された
ギンザ・グラフィック・ギャラリー第386回企画展「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」の巡回展です。
お知らせ
- 2023年08月23日
- スタインバーグ展 会場写真
会場
京都dddギャラリー
〒600-8411京都市下京区烏丸通四条下ル水銀屋町620COCON烏丸3F
TEL:075-585-5370FAX:075-585-5369
開館時間: 11:00~19:00 土日祝は18:00まで
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合はその翌日)、祝日の翌日(土日にあたる場合は開館)
※9月12日(火)はCOCON烏丸特別休業のため休館、9月19日(火)・10月10日(火)は祝日の翌日のため休館となります。
アクセス:市バス「四条烏丸」徒歩すぐ、地下鉄烏丸線「四条駅」2番出口、阪急京都線「烏丸駅」23番・25番出口すぐ。駐車場無
入場料: 無料
主催
公益財団法人DNP文化振興財団
協力
ソール・スタインバーグ財団、マーグ画廊
監修・展示構成・評論
矢萩喜從郎
ソール・スタインバーグ略歴
1914年ルーマニアのブカレスト近郊、ルムニク・サラト生まれ。ブカレスト大学で哲学と文学を学んだ後、イタリアのミラノ王立工科大学(現ミラノ工科大学)で建築を専攻し、1940年卒業。
ミラノでは、風刺新聞『ベルトルド』に積極的に関与したが、1941年、ファシスト政権下の反ユダヤ的なイタリアを逃れアメリカに渡る。
戦時中は海軍に入隊、戦後はニューヨークに居を構え、『The New Yorker』誌の仕事に携わるようになり、その後、50年以上にわたり同誌の表紙を89点、中面のドローイングを1200点以上手がけた。
知的で洗練されたスタイルで、漫画(cartoon)の世界に革命を起こし、美術の領域(ドローイング、絵画、版画、コラージュ、彫刻等)にグラフィックを取り入れた第一人者。
1946年、ニューヨーク近代美術館「14人のアメリカ人展」に選出、1952年、ニューヨークのパーソンズ=ジャニス画廊と、続いて翌年、パリのマーグ画廊にて初の個展を開催。
1978年、ホイットニー美術館で回顧展、2006年を皮切りに大々的な巡回展『Steinberg: Illuminations』を開催した。作品集に『ALL IN LINE』、『The Art of Living』、『The Passport』、『The Labyrinth』、『The New World』、『The Inspector』他多数。日本でも藤子不二雄や柳原良平、和田誠等、多くの漫画家やイラストレーターに影響を与えた。
ソール・スタインバーグ財団公式サイト
作品や年譜、関連出版物など、ソール・スタインバーグについての豊富な情報を掲載するソール・スタインバーグ財団公式サイトもぜひご覧ください。(英語のみ)
https://saulsteinbergfoundation.org/
© The Saul Steinberg Foundation / Artists Rights Society (ARS), New York
オンラインで楽しむソール・スタインバーグの世界
※会期中限定コンテンツのため、公開を終了しました。
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下記サイトで「ソール・スタインバーグ シニカルな現実世界の変換の試み」で展示している作品を、テーマ・関係性など立体的な視点からご覧いただけます。
多彩な活動の全貌を壮観するとともに、スタインバーグのユニークなアプローチに迫ります。
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